小林古径記念美術館で開催中の「生誕140年 小林古径の世界」を観てきました。
小林古径記念美術館は、2020年に開館した市立美術館で、新潟県上越市出身の小林古径のほか、上越市ゆかりの作家の作品を収集・展示しています。
本展は、古径生誕140年を記念して、初期から晩年までの作品を展示し、古径の画業を回顧する展覧会です。
小林古径は新潟県人として初めて文化勲章を受章したんだって~
ネコ画伯的感想
【見どころ1】初期から晩年まで
本展では、コンパクトながらも初期から晩年までの作品が並べられ、古径の画業の変遷をたどることができます。
(一部作品のみ撮影可能でした)
明治16年(1883年)2月11日に現在の新潟県上越市に生まれた小林古径は、16歳のときに本格的な絵の勉強をするため上京しました。
この作品はその頃に描かれたものと言われていますが、詳細は不明だそうです。
後の古径の画風とは全く違いますね。
古径らしい上手さが表れている作品。
実物を前にすると、あまりにも鶴がスッとして見えて驚きます。
近づかないとわかりませんが、足やくちばしの辺りは非常に緻密に描かれています。
しかし写実的でありながらも、生々しくはならないところが古径の上手さだとネコ画伯は思っていて、写実と装飾のバランスがすばらしく感じるんですよね。
こちらもバランスのよさを感じる作品。
平面的で「絵」らしいんですが、描写力がすばらしく、スイートピーも瓶も存在感があります。
古径の絵には「かわいらしさ」を感じるものも多くあります。
こちらの作品も、梅の枝・花ともにやわらかく描かれており、かわいらしさを感じます。
それと対比するようにうぐいすはシャープな細い線で描かれていますが、よく見るとうぐいすのつりあがった目、開いたくちばしもまたかわいらしいんです。
かわいらしい絵をもう一つ↓
かわいらしい…
こういう絵を手元に置いておけたら、幸せでしょうね~
古径の絶筆も観ることができました。
未完ですが、一輪の牡丹を描いた作品です。
古径は病床でも写生や作品制作を試み、震える手を抑えながらも院展会場へ出かけて同人たちの作品を眺めるなど、最期まで制作に対する意欲は衰えなかったそうです。
【見どころ2】《芥子》
今回、一番ネコ画伯の印象に残ったのがこの作品です。
38歳のときに描いた《芥子》(けし)。
普通は花が主役になりそうなところですが、本作品は茎と葉が画面の大部分を占めており、明るい緑が目に飛び込んできます。
この明るい緑は個人的に、上手く使わないと単調になって下手な絵に見えてしまう色だと思うのですが、古径の場合は葉を非常に細密に描写しているうえに、色を丁寧に使い分けることによって葉の重なり・奥行きが表現されています。
実物を見れば見るほど、奥深さが感じられる魅力的な作品でした。
【見どころ3】古径の住まいと画室
小林古径記念美術館には、東京から移築された小林古径邸があり、内部を見学することができます。
建築家の吉田五十八は、住宅を設計する際に古径から「私が好きになるような家をつくってほしい」と一言だけ要望を受けて住宅を作り上げたそうです。
細い線が目立つ全体的にシャープな印象で、古径の作品の特徴に通じるような気がしました。
また、小林古径邸のすぐ近くに、画室も再現されています。
広々とした開放的な画室です。
丸い照明や柱、ガラス張りの窓が現代にも通じるようなおしゃれさで、素敵ですね。
この日は雨でしたが、それでもこれだけ明るい部屋なので、古径は制作の際に非常に自然光を大切にしていたのだろうなと感じられました。
ミュージアムグッズ
図録とせっけんを買いました。
せっけんは800円で入館料(一般700円)よりもお高いんですが、「古径さんちの固形せっけん」て名前が良すぎて…
しかも「ヤギミルク入り」なんて書かれたら、買いたい衝動が抑えられませんでした。
これ考えた人のセンスすごくないですか。
ミュージアムカフェ
小林古径記念美術館にはミュージアムカフェはありません。
展覧会まとめ
ネコ画伯は小林古径の絵が好きなので、今回まとまった形で作品を観ることができてとても楽しかったです。
古径の絵にはスッとした線が生み出す品があり、その中にかわいらしさもあり、観ていて気持ちがいいんです。
美術館自体も新しく居心地が良いのでオススメ。
気になった方はぜひ一度、訪れてみてください~!
生誕140年 小林古径の世界
2023年10月21日(土)~11月19日(日)
小林古径記念美術館