【おすすめ展覧会】シン・ジャパニーズ・ペインティング 革新の日本画

【おすすめ展覧会】シン・ジャパニーズ・ペインティング 革新の日本画おすすめ展覧会

ポーラ美術館で開催中の「シン・ジャパニーズ・ペインティング 革新の日本画―横山大観、杉山寧から現代の作家まで」を観てきました。

印象派のコレクションで有名なポーラ美術館。

今回は13年ぶりとなる日本画を特集した展覧会です。

ネコ画伯
ネコ画伯

ポーラ美術館に行くのは初めてだから楽しみだ~

ネコ画伯的感想

【見どころ1】横山大観の絵がイチオシ!

プロローグから第3章までは、明治から戦後の日本画が展示されています。

表現手法や画材の変化といったことは難しいので、なんとなく肌で感じておきました。

とにもかくにもネコ画伯のイチオシ作品はこれです↓

横山大観《山に因む十題のうち 霊峰四趣 秋》1940年 ポーラ美術館

白くふわふわしたススキの中に、おみなえしの黄色がアクセントになっている素敵な作品です。

富士で有名な横山大観ですが、この作品では富士は主張しすぎず、全体にやわらかい景色の中にすっきりと溶け込んでいると思いませんか。

照明の関係で写真は暗いですが、実物はもっと明るくかわいらしいですよ。

この作品が観られただけで元は取れたと思うくらい、気に入りました。

他におすすめの作品はこちら↓

杉山寧《孔雀》1956年 東京国立近代美術館

この孔雀はなぜこんなに窮屈そうに画面に収まっているのか。

画面内でできる限り距離を取りたがっているような、不思議な構図の絵です。

それがかえって魅力的ですね。

孔雀の背中のあたりだけ黄緑色に明るく発色していて、自然と目が吸い寄せられてしまいます。

岡田三郎助《あやめの衣》1927年 ポーラ美術館

洋画との比較展示コーナーでは、岡田三郎助の《あやめの衣》が展示されています。

よく本で目にしますが、実物を見ても、たしかに素敵ですね~。

実在感があり、衣の鮮やかな色が目を引く作品です。

よく見ると、髪は真っ黒ではなく緑が混じっていて、思ったよりやわらかな色合いだったのが新たな発見でした。

【見どころ2】現代の作家たち

第4章は現代の画家たちの作品が並んでいます。

こちらが想像以上に充実しており、いろんな画家の作品を観ることができて良かったです。

山本基《時を纏う》2023年 YUKIKOMIZUTANI

地球のような海のような、鮮やかな青色の上に、雲のような白いもやもやがかかっています。

大画面に映える絵ですね。

マコトフジムラ《ブルーベリー》2022年 作家蔵

カンヴァスに岩絵の具で描かれた作品です。

この絶妙な色味と、均一ではない塗り方に惹かれました。

タイトルの《ブルーベリー》は色のことなのでしょうか。

ブルーベリーってこんな色だったか、どうだったか。おいしそうなタイトル。

深堀隆介《緋ノ魚》2020年 作家蔵

少し怖いけど印象的だった作品。

絵の具を垂れ流している金魚。

この絵をじっと見ていると、すべての生き物は色に還元されて消えていくようで、怖く寂しい気持ちになりました。

《緋ノ魚》と言いつつ、中身はいろいろな色で成り立っているというのが面白い。

【見どころ3】コレクション展のすばらしい名画は必見

今回の企画展は日本画特集ですが、コレクション展の方で、ポーラ美術館の所有する西洋絵画をいくつか見ることができます。

これはもう、必ず見て帰りましょう!!

展示作品は少ないながらも、あまりの質の高さに、ネコ画伯はしばらく放心状態でした。

時間が許すならもっとずっと見ていたかった…

メアリー・カサット《劇場にて》1878-1879年頃 ポーラ美術館

初公開の新収蔵作品。

暗い展示室の中で、光り輝いていました。

パステルのやわらかくも、明るい色彩がすてきです。

アンリ・マティス《リュート》1943年 ポーラ美術館

今まで見たマティス作品の中でも、トップレベルに好きな作品です。

一目見てかわいいです。

これだけ柄が混ざり合っているのに、見ていて心地よいというのがすごい。

黄色が下塗りされているらしく、画面を覆う朱色がどぎつく見えないのはそのせいもあるのかも。

クロード・モネ《睡蓮》1907年 ポーラ美術館
クロード・モネ《睡蓮の池》1899年 ポーラ美術館

名画ばかりのコレクションの中でも、ネコ画伯的イチオシはモネの睡蓮です。

この睡蓮2作品の横並びは、どちらも良すぎて…感動です。ため息しか出ません。

睡蓮を繰り返し描いたモネですが、1899年の《睡蓮の池》は初期段階のため、太鼓橋や周囲の柳など、睡蓮を含めた景色全体が描かれています。

それがだんだんと水面にフォーカスするようになり、1907年の《睡蓮》では、周囲の木々は水面に映りこむ形で表されています。

こちらのほうが、より絵に奥行きを感じてネコ画伯は好きです。

モネの睡蓮の作品を目にする機会は多いので、中にはピンとこない作品もありますが、今回展示されている2作品は間違いなく推せます。

絶対に見て帰りましょう!

ポーラ美術館には初めて行きましたが、山の自然の中にある洗練された美術館、という感じで建物もきれいだし展示もすばらしかったです。

気軽には行けない場所だからか、開館直後だからか、人も多くなく快適に鑑賞できました。

「撮影不可」の表示作品以外は写真撮影が可能というのも、うれしいですね。

日常を離れて、美術にひたれる場所。

ぜひまた行きたいです。

ミュージアムグッズ

ポストカードを買いました。

図録も買おうとしたのですが、なんとまだ制作中で、10月下旬以降の発送になると。

しかも配送料がかなりかかるようなので、諦めました…

ミュージアムカフェ

カフェも時間がなく、立ち寄るのを断念。

カフェと同じ名前のケーキ、「チューン」を味わってみたかったな~。

次の機会を楽しみにしたいと思います。

展覧会まとめ

「シン・ジャパニーズ・ペインティング」という今回の展覧会タイトル。

担当学芸員さんによれば、古臭いイメージや固定観念をもってほしくないという思いで、「日本画」とはつけずに「ジャパニーズ・ペインティング」としたとのこと。

そして「シン」は、「新」「真」「神」といった、いろいろな意味に捉えられると。

たしかに、展示を見ると「日本画とはこういうもの」という1本のイメージではなく、むしろ多様性を感じました。

それはやはり過去から現在までの画家が、それぞれに絵と向き合った結果、表れた個性であり、革新してきたものなのでしょう。

闘う画家たちに尊敬の思いです。

そして見る側である自分も、「正解がない」「何でもあり」な時代だからこそ、自分の「好き」を見つめて、大切にしていきたいと思いました。

「シン・ジャパニーズ・ペインティング」とは何ぞや?という方、ぜひ展覧会に足を運んで、日本の絵の世界を味わってみてください~!

シン・ジャパニーズ・ペインティング 革新の日本画―横山大観、杉山寧から現代の作家まで
2023年7月15日(土)~ 12月3日(日)
ポーラ美術館

タイトルとURLをコピーしました