【おすすめ展覧会】ヘテロジニアスな世界 光瑤×牛人

【おすすめ展覧会】ヘテロジニアスな世界 光瑤×牛人おすすめ展覧会

高岡市美術館で開催された「ヘテロジニアスな世界 光瑤×牛人」を観てきました。

ともに富山県出身の画家である石崎光瑤(いしざきこうよう)篁牛人(たかむらぎゅうじん)の作品を並べて対峙させ、新たな美の発見を試みる、という展覧会です。

「ヘテロジニアス」ってなじみがない言葉ですが、「異種の、異質な」という意味の英単語で、本展覧会においては

一見異質な作品群が有機的に織りなすハーモニーにより誘われる、これまでに味わったことがない世界、これを「ヘテロジニアス(heterogeneous)な世界」と呼ぶことにしよう。

展覧会チラシより

とのことです。

ネコ画伯は以前に光瑤と牛人の作品を別々の場所で見ましたが、どちらも興味深くもっと見たいと思っていたので、今回その2人の作品が並んだことでどんな世界が楽しめるのか、わくわくして行ってきました。

ネコ画伯
ネコ画伯

初めて行った高岡市美術館。

特徴的な外観と内装で既視感があると思ったら…

石川県七尾美術館と設計事務所が同じなんだって!

ネコ画伯的感想

【見どころ1】光瑤の魅力

石崎光瑤は1884年生まれ。

幼少の頃から画家を志し、12歳で江戸琳派の画家に入門。

19歳で京都に上り、竹内栖鳳に入門。古典を学ぶとともに、写生の重要性に開眼した。

(↓以下、画像はすべて展覧会図録を撮影したもの)

《富山湾真景図》1898年頃 南砺市立福光美術館蔵

大きな六曲一双の屏風ですが、14歳ごろの作品。

その年でこんなに描けるのかと驚くほど、精密で立派な作品です。

《筧》1914年 南砺市立福光美術館蔵

30歳のとき、第8回文展に入選し、宮内省買上となった作品。

上記作品の一部拡大したもの

葉の緑に一体何色使われているんだろうと思うほど塗り分けられていることや、白い花の散る様も描かれていることで、絵に奥行きが感じられます。

繊細で華やかでいて、くどくないというところが、光瑤の魅力じゃないでしょうか。

《花鳥の図》1935年 富山県水墨美術館蔵

51歳のときの作品。

光瑤は若いころに伊藤若冲の《動植綵絵》を見て強い憧れを抱いたそうですが、この絵を見るとそれがなんとなくわかる気がします。

でも若冲よりは光瑤の方が、鳥も花もかわいらしく描いていると思う。

【見どころ2】牛人の魅力

1901年、浄土真宗本願寺派の善照寺に生まれた牛人。

高校卒業後、東京美術学校への進学を希望するも、経済的な事情により断念。

工芸図案家となり展覧会で受賞を重ねるが、39歳ごろから図案の制作を止め、絵画に専念するようになった。

《金時と熊》1947年 富山市篁牛人記念美術館蔵

牛人の絵を初めて見たときに驚くのが、大胆で黒々とした墨の表現です。

「力強い」という言葉では収まりきらない…金時の乗っている怪物のような、この黒い塊は何なのでしょうか?

牛人は、このようにぼかしやにじみを極力使わず、墨を紙にこすりつけるように描く独特の水墨画を、自ら「渇筆画(かっぴつが)」と称したそうです。

一方、金時はペンで描いたような細い線で描かれており、どこかで見たことがあると思ったら、初期の牛人の作品は藤田嗣治の影響を受けているそうです。

そう言われればすごく似た描き方ですよね。

《天台山豊干禅師》1948年 富山県水墨美術館蔵

牛人の絵って、ものすごく面白くないですか。

ネコ画伯は初めて牛人の作品を観たとき、あまりにも変で、他に見たことがない表現で、目が離せませんでした。

この作品も、木は異様な形だし、虎は体がでかすぎるし、豊干禅師(ぶかんぜんし)は何だか漫画みたいだし…

《西王母と小鳥》1969年 富山県水墨美術館蔵

牛人の絵は、顔が小さく、体はふっくらパンパンにでかいというのが特徴ですが、見ているとこれがクセになります。

ふっくらと言えば、以前、展覧会で見たフェルナンド・ボテロの絵を思い出しました。

あちらは色鮮やかで、こちらは白黒ですが、全然迫力は負けてないですね。

【見どころ3】企画力がすばらしい

展示室では、左に光瑤の《燦雨》、右に牛人の《蛟龍》という、目にも豪華な並びが実現しています↓

《燦雨》1919年 南砺市立福光美術館蔵
《蛟龍》1967年 富山市篁牛人記念美術館蔵

この展示を見て、本展覧会の企画のすばらしさを実感しました。

光瑤も牛人も、それぞれの作品だけ見ても個性があってよい画家だと感じるんですが、今回2人の作品を並べて見たことで、より個性が際立って見えてきました。

正反対と言っていいくらい画風は違うけれども、どちらの絵も、見る者を惹きつける力強さがあります。

今回の展覧会で、ネコ画伯は、石崎光瑤も篁牛人も、より好きになりました。

企画を考えてくれた方、高岡市美術館に感謝です。

ミュージアムグッズ

図録とポストカードを買いました。

図録は両開きで、右側から開くと光瑤の作品から始まり、左側から開くと牛人の作品から始まるスタイルです。

コンパクトなサイズ感はいいんですが、展示室にはあった作品解説が載っていなかったのは残念でした。

ミュージアムカフェ

高岡市美術館にはミュージアムカフェはありません。

休憩スペースはあるので、持ち込んだ飲み物で水分補給しましょう。

展覧会まとめ

すごくオススメなのに、ネコ画伯が最終日に滑り込みで見に行ったために、展覧会はすでに終わっています…

しかし、もっと多くの人に石崎光瑤と篁牛人を知ってもらいたい!

気になった方はぜひ一度、下記の美術館に足を運んでみてください~

ヘテロジニアスな世界 光瑤 × 牛人
2023年9月16日(土)~10月22日(日)
高岡市美術館

タイトルとURLをコピーしました