金沢市の香林坊大和で開催中の「フェルメール 光の王国展 in KANAZAWA」を観てきました。
本展は普通の展覧会とはひと味違います。
フェルメール全37点のリ・クリエイト作品を一堂に展示する、というものです。
本物の絵ではありません。複製画です。
ただし「リ・クリエイト作品」と定義するほど、こだわって制作された複製画なのです。
「フェルメール・センター・デルフト」より提供を受けた画像素材を最新のデジタル技術により、360年前の色彩を求めて美しく再創造した作品です。
展覧会チラシより
この作業を「re-create」と呼ぶ。
フェルメール好きで有名な、生物学者の福岡伸一さん監修というのも気になって、行ってきたよ~
ネコ画伯的感想
良かった点
展覧会を観て、良かった点は下記の通りです。
- 原寸大で再現されたフェルメール全作品を年代順に見比べることができる
- 額も再現されている
- じっくりと鑑賞できる
フェルメールが描いたと確認されている作品は全37点と少ないため、その気になれば網羅できそうですが、とはいえ日本に住んでいる我々が本物のフェルメール作品をすべて鑑賞するというのは難しいでしょう。(中には個人蔵のものや盗難されて行方不明の作品もあります)
本展では、そんなフェルメール作品全37点が一堂に会するというのが最大のポイントです。
原寸大で再現された作品が年代順に並べられているため、フェルメールの画業の変遷をたどることができます。
また、ネコ画伯的には額も本物そっくりに再現されているというところが嬉しかったですね。
絵と額の組み合わせが一番好きだった作品はこれです↓
木のぬくもりのある茶色の額に収まることで、作品の温かみがより増している気がしました。
現在、フェルメールは日本で最も人気のある西洋画家と言っても過言ではありません。
もしもフェルメール展が開催されれば、会場は大混雑、遠くから絵を眺めるか、運よく間近で作品を観られても、じっくりと鑑賞する時間はないかもしれません。
しかし本展であれば会場の混雑はないため、額装に注目したり、作品の細部をじっくりと気の済むまで眺めることができます。
そういった点でも、フェルメール作品を見比べながら鑑賞したい人におすすめの展覧会です。
イマイチな点
反対に、イマイチだなと思った点は下記の通りです。
- 一目見て印刷感がある
- 青が印象的でない
- 値段が割高に感じる
今回残念だったのは、会場に入って、作品を一目見たときのがっかり感です。
明らかに印刷であるというのが感じられたのです。
❝re-createとは単なる複製ではない、フェルメールが描いた当時の色彩を求め、最新のデジタル技術によって「再創造」したものである❞
という心意気は買うのですが、実際の作品を前にすると、鮮やかな色彩がどうこうよりもまず明らかな印刷感が気になって、他の部分に意識がいかなかったです。
写真に撮ると意外とよく映るので、わかりにくいかもしれませんが…
最新のデジタル技術でもこの程度(と言ったら失礼ですが)にしか、再現できないものなのか?と驚くほど、質感というか、絵肌が本物とは違いました。
それから、「経年劣化で退色したオリジナル作品よりも鮮やかな色彩になっている」とのことでしたが、どうも青色が印象的に見えないのも気になりました。
「フェルメール・ブルー」と言われるほどフェルメール作品の特徴となっている青色の輝きは、本物だからこそもてるものなのでしょうか。
本展覧会のチケット料金は、当日券で1,100円です。
再現度から考えると、ネコ画伯としては少々割高に感じました。
展覧会まとめ
リ・クリエイト作品を会場で観た結果、ネコ画伯が本展をおすすめする人とおすすめしない人をまとめてみました↓
ところで本展のギャラリートークで教わったのですが、最近の調査で《真珠の耳飾りの少女》の黒塗りの背景の中に、フェルメールの文字が確認されたそうですよ。
今後、文字をあぶり出す作業が行われるのか、どうなのでしょうか。
リ・クリエイト作品をじっくりと眺めるうちに、本物のフェルメール作品を観たい気持ちが強くなったネコ画伯でした。
フェルメール 光の王国展 in KANAZAWA
2023年8月3日(木)~22日(火)
香林坊大和